こんにちは!山岡です。
今回のテーマはリノベ勢の強い味方
”築古物件”を考える第二弾です!

こんな人におすすめ!
・旧耐震の税制面について知りたい人
・旧耐震を買うか悩んでいる人
前回は
・築古物件のメリット
・築古物件のデメリット①「建物が古いことによるデメリット=リスク」
をお伝えしました。
今回は
もう一つの築古物件のデメリットである
②旧耐震であることによる住宅ローン&税制優遇デメリット
を中心にお伝えしていきます。
旧耐震であることによる住宅ローン&税制優遇デメリットとは
まずは旧耐震基準のおさらいです。
【新耐震旧耐震って何だっけ】
新耐震とは1981年6月1日以降に建築確認を受けている建物のことを言います。
旧耐震は1981年5月31日までに建築確認を受けている建物のことを言います。
建築確認日は表に出ていないことが多く分かりづらいです。
築年数が1981年前後であれば新耐震か旧耐震か不動産屋に確認してみましょう。
この耐震基準が中古マンションを購入する際に税制優遇を受けられるかどうかの条件の一つとなります。
他にも旧耐震の物件は住宅ローンが組みにくいなど資金面に関わることがあります。
今回はそんな旧耐震物件を購入する時に知っておきたい”お金”に関わる内容です。
①旧耐震は住宅ローンが通りにくい?
中古マンションを購入する際には住宅ローンを利用する方が多いと思います。
旧耐震基準の物件の住宅ローンにはいくつかの制限事項があります。
- 銀行が限られる:
- 旧耐震基準の中古マンションは、一部の銀行では住宅ローンの対象外とされる場合があります。
- ローンを組む際には、事前に銀行や金融機関に確認し、対象となるかどうかを確認する必要があります。
- 借入額に制限がかかる場合がある:
- 一部の銀行では、旧耐震基準の中古マンションに対しては、借入額を制限する場合があります。これは、建物の担保価値が新しい物件と比べて低いと判断されるためです。
- 金利が高い場合がある:
- 一部の銀行では、旧耐震基準の中古マンションに対する金利が新築や新耐震基準の物件に比べて高く設定される場合があります。これは、銀行がリスクを考慮して金利を設定するためです。
自身の予算や条件に合った物件を選ぶためにも、旧耐震基準の中古マンションを購入する際にはこれらのポイントを理解して対応していくことが重要です!
具体的にどうすれば良いの?
・旧耐震でも審査可能な銀行をピックアップ
・審査可能な銀行全てに対して審査を出す
・その中でより良い条件の銀行を選ぶ
物件によってはそもそも審査可能な銀行がかなり限られる場合があり選択肢が狭まることがあります。
その際は自分が払える金利や条件を考慮しながら物件の購入自体を検討する必要があります。
例えばローンを組めたとしても金利が2.5%だと月々の支払いが大きくなり負担が増えますよね。
返済に無理のない範囲で借りられる銀行を選ぶこともポイントです。
ネガティブに感じる旧耐震のローン事情ですが
承認された場合は、物件に対しての担保を得られたと考えることもできます。
②旧耐震は税制優遇が受けられない?
旧耐震基準の中古マンションは基本的に下記の税制優遇や減税の適用を受けられません。
・不動産取得税
・登録免許税
・住宅ローン減税
それぞれの概要とポイントをまとめました。
不動産取得税の減税
不動産取得税とは、中古マンションなどの不動産を取得した年に都道府県に納税する税金です。
相続を除いて個人・法人、新築・中古を問わず課税の対象となります。
毎年支払う固定資産税などと異なり不動産を取得した年に1度だけ支払う税金です。
不動産取得税は評価額から築年数の経過によって割り当てられる控除額を引いた額に3パーセントが課税されます。 旧耐震の場合では原則控除額が認められませんが、耐震基準適合証明を取得することで控除額を確保できます。(耐震基準適合証明については後ほど出てきます)
不動産取得税は、軽減措置によって税金を大幅に抑えることができ、場合によっては0円になることもあります。
建物
・床面積が50㎡以上240㎡以下
・取得者の居住用、またはセカンドハウス用の住宅
・1982月1月1日以降に建築されたもの、または新耐震基準に適合していることが証明されたもの
土地
・建物が条件に合致している場合に一定の計算金額を控除
※土地は建物が条件に合致していれば控除の対象となる。
※その他細かい規定や法改正があるので対象になるかどうかは都度確認が必要です。
つまり旧耐震基準の物件(耐震適合証明書がないもの)は減税の対象外です。
不動産取得税は評価額から築年数の経過によって割り当てられる控除額を引いた額に3パーセントが課税されます。
その金額は固定資産評価証明書の数字を利用して計算します。
気になる方は東京都主税局のホームページ(https://www.tax.metro.tokyo.lg.jp/shisan/syutokuzei.html)から計算ができます。
または管轄の税事務所に問い合わせてみましょう。



わたしの場合…
築52年54㎡の旧耐震で不動産取得税は26万円ほどでした。
(家屋・土地合わせて)
不動産取得税まとめ
一度きりの支払いで何百万の納税額になることは少ないが
旧耐震物件の場合は減税措置がないことを理解しておく。
登録免許税
登録免許税とは、不動産の登記をする際に法務局へ納める税金で購入時に支払う税金です。
実際の支払い方法は司法書士へ登記の報酬と共に支払います。
登記の種類がいくつかありますが中古物件を購入する際には、
・所有権移転登記
・抵当権設定登記(住宅ローンを組む場合)
が必要になりそれぞれに登録免許税を納める必要があります。
登録免許税に関して以下の条件を満たすと減税措置が適応されます。
・自己の居住用住宅であること
・1982年1月1日以降に建てられた建物であること、もしくは耐震基準に適合している建物であること
・登記床面積50平方メートル以上であること
※「登記床面積」とは、マンションの場合、壁の内側で囲まれた「内法(うちのり)面積」を指す
※その他細かい規定や法改正があるので対象になるかどうかは都度確認が必要です。
つまり登録免許税においても旧耐震基準の物件(耐震適合証明書がないもの)は減税の対象外となります。
①建物所有権移転登記について
所有権移転登記の登録免許税は建物の評価額をもとに計算されます。
軽減税率は
建物評価額×税率本則2%→軽減税率0.3%
となります。土地に関しては税率本則1.5%のままです。
②抵当権設定登記(住宅ローンを組む場合)について
抵当権設定の登録免許税はローンを組む金額をもとに計算されます。
正確な登記費用はローンの借入金額が正式に決まってから(金消契約が終わってから)司法書士の先生に提示いただくことで確定します。
軽減税率は
借入額×税率本則0.4%→軽減税率0.1%
となります。
中古マンション購入の際、登録免許税はどのくらいになるのでしょうか。
登録免許税のケーススタディ
一般的な計算式を用いてケーススタディしてみます。
ケーススタディ(中古マンション購入+リノベ費用+諸費用で借入想定)
物件価格 5,000万円(評価額:土地1,500万円 建物:500万円)
ローン借入金額 6,500万円(リフォーム費用1,200万円+ 諸費用300万円)
減税適用がない場合
①土地(所有敷地権)の所有権移転にかかる登録免許税
1,500万円×1.5%=225,000円
②建物の所有権移転にかかる登録免許税
500万円×2%=100,000円
③抵当権設定登記にかかる登録免許税
6,500万円×0.4%=260,000円
①+②+③=585,000円
減税適用がある場合
土地(所有敷地権)の所有権移転にかかる登録免許税
1,500万円×1.5%(同じ)=225,000円
建物の所有権移転にかかる登録免許税
500万円×0.3%=15,000円
抵当権設定登記にかかる登録免許税
6,500万円×0.1%=65,000円
①+②+③=305,000円
登録免許税まとめ
・登録免許税は不動産取得の際に払わなくてはならない費用。
・旧耐震基準の建物には軽減税率は適応にならない。
・減税のメリットと築古の物件価格のメリットをよく考える。



ケーススタディでは28万円の差でした。
この差をどう感じますか?
減税に気を取られて築古の価格メリットを見落とさないようにしたいです
住宅ローン減税
住宅ローン減税は、個人が住宅ローンを組んで住宅を購入した場合に、その支払い金額から所得税(所得税で控除しきれなかった部分は住民税から)の一部が控除される制度です。
住宅ローン減税は住宅取得において大きなウエイトをもつ減税措置だと思います。
簡単に言うと家を買ったら10年間(13年間)払った税金の一部が返金される制度です。
投資目的の物件や一人暮らし向けのコンパクトな物件では、恩恵を受けることができません。
主に以下のような条件があります。
・自ら居住すること
・床面積(登記簿)が50㎡以上であること
・1982年(昭和57年)以降に建築された住宅であること
・返済期間が10年以上あること
・年収が2,000万円以下であること
・特定の制度と併用していないこと
居住した年のその前2年間(通算3年間)に譲渡所得の課税の特例の適用等を受けていないことなど。



厳密に言うととても複雑な条件になります!
不安な点があれば対象になるかどうか税務署に確認をしましょう。
また、税制改正は度々あるので国税庁のホームページもチェックです。
【国税庁】中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合
(住宅借入金等特別控除)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1211-3.htm
[令和5年4月1日現在法令等]
まず新築含め様々な対象物件があるのですがここでは最も可能性の高い
中古マンション(既存住宅)を個人の売主様から購入する場合をチェックします。


この表から中古マンションに関わる箇所(赤枠)をまとめると…
借入限度額:既存住宅ーその他の住宅 2,000万円
控除期間:既存住宅 10年
床面積は50㎡以上。
※登記簿上の専有部分の床面積で判断。
ちなみに控除率は一律0.7%
これをもとに先ほどのケーススタデイで考えてみます。
ケーススタディ(中古マンション購入+リノベ費用+諸費用で借入想定)
物件価格 5,000万円(評価額:土地1,500万円 建物:500万円)
ローン借入金額 6,500万円(リフォーム費用1,200万円+ 諸費用300万円)
ローン減税対象としてMAX控除されると考えると
2,000万円×0.7%=14万円→1年の控除額
14万円×10年間=140万円
つまり中古マンションを買ってローン減税の対象となればMAX140万の控除を受けられる可能性があります。
どうでしょうか。
気に入った物件を購入して結果的にローン減税が受けられると家計にとっても大変助かりますよね。
しかし「新耐震だから」「減税対象だから」とローン減税を気にするあまり、
もっと良い条件の物件を逃してしまうことは避けたいところ。
築古物件や旧耐震物件の魅力は立地がよくその立地や建物の造りに対して価格が安いことです。
確かに税金・税制面では、旧耐震物件の方が不利になることはあります。
しかしそれ以上に物件の販売価格の差分の方が有利になる可能性もあるため比較して検討することをお勧めします。



築古・旧耐震の割安感はやっぱり魅力!
旧耐震だからといって選択肢から外すと勿体無いかも?
住宅ローン減税まとめ
・旧耐震基準の建物には住宅ローン減税は適応にならない。
・減税のメリット(MAX140万円)と物件価格の差額を冷静に考える。
③耐震基準適合証明書があれば解決
お伝えしてきたように旧耐震基準の中古マンションは税金・税制面では不利な面があります。
しかし耐震基準適合証明書があれば新耐震基準と同等と見なされ同様の減税等を受けることが可能となります。
耐震基準適合証明書というのは、中古マンションなどの建物の耐震性が、建築基準法で定められた現行の耐震基準を満たしていることを証明するための書類のことです。
旧耐震基準に建築されたマンションでも耐震診断を行った上、必要な耐震補強工事をしていれば取得できます。
耐震基準適合証明書があることは耐震性能への安心感があることだけでなく税制面でも大きなメリットがありますので取得可能なマンションであれば物件概要に記載されていることがほとんどです。
まとめ
前回の築古マンションを考える①では主に築古や旧耐震の地震に対する考え方や建物の老朽化など実際の建物に対して気をつけなければいけないポイントをまとめました。
今回は主に住宅ローンに関することや税制優遇など費用面で気をつけなければいけないポイントをまとめました。
今回のまとめとして新耐震と旧耐震での主な比較です。
新耐震基準 | 旧耐震基準 | |
築年月 | 1981年6月1日以降 | 1981年5月31日以前 |
耐震性能 | 震度5程度の中規模地震に際し、 倒壊あるいは崩壊しない | 震度6強~7程度の大規模地震で 倒壊・崩壊しない |
住宅ローン | 銀行の制限なし | 銀行の制限あり |
税制優遇 | 住宅ローン減税適応 登録免許税・不動産取得税の減税 | なし (耐震基準適合証明書があればあり) |



結局、築古・旧耐震マンションって買ってもいいの?



デメリットを理解した上で築古・旧耐震物件の価値(立地・価格など)が勝てばあり!
ただし見極めは大事。
私は普段、旧耐震物件を優先して率先しておすすめすることはしていませんが、
もちろんご希望の条件によってはすすめることもあります。
その際はさまざまな角度からチェックしていきます。
築古・旧耐震基準のマンションは古いイメージから嫌がられる方も多く物件探しの条件として【新耐震基準】を挙げられる方もいます。
「築50年の物件を買って後何年住めるの?」という声も聞きます。
しかし素晴らしい立地の良さからリセールバリューも十分考えられる物件も存在しているのが事実です。
実際に不動産や住宅のプロも購入しています。
ですが築古・旧耐震物件+リノベは記事にも記載した通り理解しておくポイントや物件選びの際にチェックするポイントも多く見極めが難しいことも。
その際はぜひお気軽にご相談してください。



私自身も旧耐震物件を購入してリノベしていますので
実体験も踏まえて生の声をお伝えさせていただきます!
今後はわたしが購入した際の実例を挙げながら築古を選んだ理由などををお伝えできればと思います。
まだまだお伝えしたいことがたくさんありますが、今後の物件購入の参考となれば嬉しいです。
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